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不確実な時代の投資判断:設備投資を決める社長の視点

関西ものづくり支援パートナーズ

調査データが示す“設備投資に慎重な空気”

こんにちは、ものづくり支援パートナーズの大音です。

帝国データバンクの最新調査によれば、2025年度に設備投資を計画している企業は57.4%。一見すると過半数を超えていますが、その内訳は「老朽化した機械の更新」や「修繕・維持管理」が中心で、新規事業や成長分野への積極的な投資は伸び悩んでいます。

現場の感覚としても、「投資の必要性は理解しているが、今すぐに踏み切るのは難しい」と感じている企業が多いのではないでしょうか。まさに、慎重さが経営判断の前提条件となっている状況です。


2. なぜ慎重になるのか

  • 原材料や人件費の高騰によるコスト負担の増大
  • 景気・為替・国際情勢など先行きの不透明感
  • 投資後に十分なリターンを得られるのかという不安

設備投資とは「将来の利益を先取りする行為」です。だからこそ、見通しが立たない環境下では意思決定に時間をかけざるを得ません。


3. 設備投資を判断するための基準

(1) 必然性(必要不可欠かどうか)

更新を怠れば生産ラインが止まる、品質が維持できない――そのような投資は躊躇すべきではありません。これは“守りの投資”として優先度が最も高い。

(2) 投資対効果(ROI)

単なるコスト削減だけでなく、売上拡大・納期短縮・品質向上など、総合的な効果を数値化することが重要です。3〜5年で投資回収が見込めるかを目安にする企業も多いでしょう。

(3) 将来の競争力への寄与

労働力不足や脱炭素の流れは後戻りしません。自動化や省エネ設備への投資は、短期的には負担でも中長期的には企業を強くします。“未来への布石”となる投資かどうかを判断基準に据えるべきです。

(4) 外部リソースの活用余地

補助金や助成金、金融機関の支援制度を活用できるか。投資リスクを外部資金でどこまで分散できるか。単独で抱え込まない工夫も判断の一部です。


4. まとめ:社長の役割

不確実性が高まる時代にあって、「投資する・しない」という単純な二択では経営を導けません。
重要なのは、“何を基準に判断するか”を明確にすることです。

その判断基準を社長自身が示すことで、社員は安心して現場の改善に取り組み、取引先は企業の先行きを信頼できるようになります。
設備投資は単なるモノの購入ではなく、企業の未来を選択する意思表示。慎重であることは決して弱さではなく、明確な基準のもとで決断できることこそが、経営者の強さだと言えるでしょう。

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