近年、世界的な経済情勢の変化や天災の影響もあり、原材料や配送手数料、エネルギー費用、労働力費用といった様々な製造コストが高騰しており、製造業にとって大きな課題となっております。
このような状況におかれた製造業において、課題を克服するためには販売価格を上げるか、コストを削減するかの2つの対策が考えられます。
まず、販売価格を上げる方法については、発注元も同じく厳しい状況で交渉が難航する経験をされている企業様も多いかと思います。具体的な方法としては、材料費高騰のエビデンスの提出による見直し、契約書に明確な価格変更条項を盛り込む、長期契約の締結、価格転嫁と合せて代替案や設計変更の提案(開発購買)をおこなう等が考えられます。
材料費高騰のエビデンスの提出について説明しますと、発注元の企業が大企業であれば価格が上げられない要因として社内部署間の関係があります。発注元の調達担当の立場としては社内で決められた予算を守る必要があります。反面、大企業となりますと価格高騰の情報は既に認知・周知されており、自社も販売先に価格転嫁の案内や取組を既に行われている事が多いです。そのため、きちんとしたエビデンスがあれば予算の見直しをする事も可能です。予算管理部署や営業部署といった発注元の調達部署にとっての関係部署に交渉をおこなう材料さえ揃っていれば価格転嫁を社内交渉してもらう事が可能になります。
また昨今はコンプライアンスに対する意識の高まりもあり、下請法違反に対するリスクマネジメントも強くなっております。発注元と仕入先の規模の違いによっては根拠のない価格転嫁の却下は下請法違反になります。発注元の調達担当と良好な関係性を築きながら協力して発注元での社内交渉に役立つ情報を流す事が価格転嫁の一歩となります。
次にコスト削減の方法については、材料費削減、生産ロットの見直し、業務プロセスの見直し、生産工程の見直し、生産方法の見直し等が考えられます。
まず、材料費削減への対策として、製品の設計や材料選定の見直しを行うことが挙げられます。製品の設計を見直し、材料の使用量を減らすことで、原材料コストを削減することができます。また、代替品の検討や海外のサプライヤーとの取引を検討することも有効です。これらの対策は、原材料価格の変動に左右されず、コスト削減につながることが期待されます。
また、業務の効率化に取り組むことが重要です。まず、業務を行う担当者のスキルアップや、業務に関する情報の収集や分析能力の向上を図ることが必要です。生産現場においても生産プロセス全体を見直すことで、より効率的な製造が実現できることができます。具体的には、生産ラインの見直しや省力化、従業員の多能工化、5S活動によるムリムダムラの改善、工場の動線見直し、QC活動等の小集団改善活動などが有効です。また、システムを導入することで、業務プロセスを自動化することも有効です。
以上のような取り組みを進める事で、急激な外部環境の変化によるコストの高騰に対応できる企業としての強さが築く事ができ、長期的に安定した利益を生み出せる企業体質へと成長することができます。
我々が開発した生産診断システム「HEPTA」はチェックリストに回答することで、「5S」「見える化」「流れ化」「情報化」「品質」「資材購買」「現場活性化」の5項目の現状が明確になり、課題が浮かび上がっていくアプリです。こちらを活用いただく事により、ご自身の会社や支援先企業様の現状を把握する事で「コスト削減」「生産性向上」のネタがどこにあるかを把握し、改善策を考えるきっかけにしていただく事も可能かと考えます。