こんにちは、モノづくり支援パートナーズの大音です。
製造業の事業承継における最大の課題、それは“技術や判断の継承”です。特に中小企業では、「社長や熟練者の頭の中にしかない暗黙知」が多く、継ぐ人がいてもノウハウが伝わらない。そこで注目されているのが、生成AIの活用です。
例えば大阪府のある樹脂加工メーカーでは、事業承継に備え、社員の業務ナレッジを「独自データ」としてAIに蓄積する取り組みを始めました。特筆すべきは、毎月“数件でもいいから、自分の作業をデータ化する”ことを全社員のノルマとした点です。文章だけでなく、画像や動画による手順記録、工程判断の背景、トラブル対応などが少しずつ蓄積されていきます。
こうしたデータの蓄積は、いまGPTs(ChatGPTのカスタムバージョン)などを使って、自社の独自データを学習させた「専用の生成AI」を構築する動きに直結しています。従来の汎用的なAIではカバーしきれなかった“現場特有の言い回し”や“工程固有の判断基準”なども、こうした専用AIによって即時に検索・提案できるようになり、業務の引き継ぎだけでなく、日々の判断補助にも活用の幅が広がっているのです。
実際、この会社では、学習させたデータを元に構築された生成AIの活用する取り組みを推進しています。
生成AI自体は汎用技術ですが、「何を、どう学ばせるか」は企業の知恵そのもの。今後は、いかに独自のノウハウを日々の業務の中で少しずつ“見える化”し、AIに学ばせられる形式で残すかが、継がれる企業と消える企業を分けるカギになるでしょう。