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完璧なDXを目指さなくていい。ウェブカメラ1台から始める「見える化」のススメ

関西ものづくり支援パートナーズ

こんにちは。ものづくり支援パートナーズの山口透です。

お客様から「うちはデジタル化の取り組みが遅れていて…」というご相談をよく受けます。確かに、バーコードで読み取って、システムで全部管理している工場を見ると「すごいな」と思いますよね。でも、そこまでできなくても大丈夫なんです。

今日は、「理想は分かるけど、現実は厳しい…」そんな中小製造業の皆さんに、すぐできる改善方法をお話ししたいと思います。

「完璧じゃなくてもいい」という発想

先日、ある工場長さんからこんな相談を受けました。

「バーコードで在庫の見える化、やりたいんですよ。でも予算もないし、うちのベテランの職人さんたちがスマホも苦手で…。どうしたらいいでしょう?」

私の答えは「じゃあ、とりあえずそのままでいきましょう!」でした。

意外に思われるかもしれませんが、これ、結構大事な考え方なんです。完璧なシステムができるまで何もしないより、今できることから始める方がずっと価値があります。

まずは「集める」だけでOK

デジタル化の前に、まずやっていただきたいのが「集約」です。

「材料があっちにもこっちにも置いてある」

「同じ部品が3箇所に分散している」

「どこに何があるか分からない」

こんな状況、よくありませんか?

まずは単純に「同じものは同じ場所に置く」これだけを徹底してみてください。材料は材料置き場、部品は部品置き場。当たり前のことですが、意外とできていない現場が多いんです。

そして「使ったら元の場所に戻す」。5Sの基本ですね。これだけで、実は在庫管理の大部分は改善されます。

ウェブカメラ1台の効果

集約ができたら、次はウェブカメラの出番です。

「監視カメラですか?」とよく聞かれるんですが、監視ではありません。「見える化」なんです。

在庫置き場にカメラを1台付けるだけ。たったこれだけで、状況が大きく変わります。

事務所にいながら「材料が少なくなってきた」「部品がなくなりそう」これが分かるんです。現場に見に行く必要もない。発注のタイミングも逃さない。

みんなで見れるから、みんなで気づける

でも、このウェブカメラの本当の価値は、ここからなんです。

例えば、仕掛品置き場にもカメラを付けてみてください。すると営業の方も、事務の方も、社長も、みんなが「今、この製品がどこまで進んでいるか」が分かるようになります。

営業の方がお客様から「例の件、いつ頃できそう?」と聞かれても、もう現場に確認しに行く必要がありません。スマホでチェックして「最終工程に入ってますね。明日には出荷できそうです」と、その場で答えられるんです。

お客様も喜ばれますし、営業効率も格段に上がります。これ、本当に効果的ですよ。

「アナログ×デジタル」の絶妙なバランス

この方法のいいところは、難しいことを覚える必要がないところです。

物を整理整頓するのはアナログ。でもカメラで見るのはデジタル。この組み合わせが絶妙なんです。

システム導入に何百万もかける必要もないし、複雑な操作を覚える必要もない。でも効果は抜群。まさに「いいとこ取り」の手法です。

実際に導入した会社の声

実際にこの方法を導入したA社の社長さんからは、こんな感想をいただきました。

「最初は『カメラなんて…』と思っていたんですが、これが想像以上に便利で。営業が客先で『今、検査前です』と自信を持って言えるようになったし、無駄な確認作業がなくなって、現場の効率も上がりました。何より、みんなが『見える』ようになったことで、チーム感が生まれたのが一番の収穫です」

次のステップは自然に見えてくる

この「見える化」を続けていると、興味深いことが起きます。

「もっと正確に数を把握したい」

「データとして残したい」

「自動で発注できたらいいな」

こんな声が自然と出てくるんです。そうなったら、そのときが本格的なデジタル化のタイミング。みんなが「見える化」の効果を実感しているから、新しいシステム導入への理解も得やすくなります。

今日からできる小さな一歩

「DXしなきゃ」「デジタル化しなきゃ」と焦る気持ち、よく分かります。でも、まずは身の丈に合った改善から始めませんか?

1. 在庫を1箇所に集める

2. 整理整頓を徹底する 

3. ウェブカメラを1台付ける

4. みんなで見る

たったこれだけです。特別な技術も、高額な投資も必要ありません。

完璧なシステムを目指すより、今日からできる小さな改善を積み重ねる。その方が、結果的に大きな成果につながります。

「まずはできることから」

皆さんの工場でも、ぜひ試してみてください。

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