ものづくり支援パートナーズの大音です。
2025年の夏、日本各地で記録的な猛暑が続いています。
気温35度を超える日が当たり前となり、製造現場では熱中症による労働災害リスクがかつてないほど高まっています。
このような背景の中、2025年4月に労働安全衛生規則が改正され、2025年6月1日から施行されています。
これにより、企業が講じるべき熱中症対策の基準が明確化・強化され、中小製造業にとっても無視できない経営課題となっています。
厚労省/職場における熱中症対策の強化について
https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002212913.pdf
第1章:法改正のポイントとは?
改正により、以下の措置が事業者に義務付けられます。
1 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
①「熱中症の自覚症状がある作業者」
②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
2 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、 ①作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
※ WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの
※暑さ指数(WBGT)は、Wet Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称で、下記の測定装置の3種類の測定値(黒球温度、湿球温度及び乾球温度)をもとに算出されたもの
引用:https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/news_topics/oshirase/0706nechushokyoka.html
第2章:なぜ今、経営者が動くべきか?
「現場に任せているから大丈夫」と考える経営者も少なくありません。
しかし、熱中症による倒産リスクは決して他人事ではありません。
熱中症が労災と認定された場合、企業には労基署からの是正勧告・損害賠償・企業イメージの毀損など、大きなダメージが及ぶ可能性があります。
また、若年層の採用や定着においても、「どれだけ働く人の安全に配慮しているか」が見られる時代です。
第3章:製造業の現場で取るべき具体的な対策
熱中症対策は単なる「設備投資」ではなく、「経営判断の一環」として全社的に取り組むべきです。
● 設備面の対策
- 空調服やスポットクーラーの導入
- 遮熱シート・日よけテントの設置
- 作業場へのWBGT計の常設
● 作業・運用面の工夫
- 30分~1時間ごとの定期休憩
- 作業時間の分割と交代制の導入
- 「声かけ」「二人体制」などの相互チェック体制
● 教育と仕組み
- 毎朝の体調申告や水分補給チェックシートの導入
- 安全衛生委員会での定例議題化
- 若手・外国人労働者にもわかる多言語マニュアル
第4章:「命を守る」は会社を守る
熱中症対策は「コスト」ではなく「リスク回避と信頼構築への投資」です。
目先の手間や費用を理由に後回しにしてしまえば、万が一の事故が取り返しのつかない損失をもたらします。
今こそ社長自らが安全対策に意思を示し、会社全体にその姿勢を伝えるときです。
法改正を「義務」として受け身に捉えるのではなく、「成長と信頼のためのチャンス」として前向きに活かしていきましょう。