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生産性向上のためのスクラップ&ビルド

関西ものづくり支援パートナーズ

みなさん、こんにちは。ものづくり支援パートナーズの内藤です。

アメリカ・ホワイトハウスは、さきの日米合意に基づき、自動車などへの追加関税を15%に引き下げることなどを盛り込んだ大統領令に署名したと発表しました。これを受けて、赤澤経済再生担当大臣はアメリカ商務省に入り、9月5日に日米で合意した日本からの投資に関する文書に署名しました。
この中では、アメリカ産のコメや大豆などの農産物、LNG(液化天然ガス)、航空機、防衛装備品などの購入量の増加や5,500億ドルをアメリカに投資(?)することが盛り込まれています。
わが国の製造業においては、関税の上昇による利益圧迫要因をコストダウンなどによって収益性の向上を図る必要が出てきました。一方、人件費や材料費などの諸物価も上昇しており、これまでの事業の前提が変わってしまいました。中小製造業においても、製造工程、生産方法、コスト構造やサプライチェーンの見直しを含めた事業の再構築が求められているのです。これまでの顧客である元請け会社が安泰ではなくなり、従来の生産を続けていては利益が確保できないのが現状です。
事業の再構築を図るための第一歩は生産性向上策の実行です。
生産性とは「Output(産出)/Input(投入)」のことです。
生産性を高めていくには、Input(投入)項目である経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のムダを排除し、Output(産出)項目である付加価値などを高めていくことが必要なのです。
「スクラップ&ビルド」という言葉があります。事業の再構築を図る時の標語のようなものです。多くの企業はこの「スクラップ&ビルド」を繰り返し、経営危機を乗り越えてきたのです。この言葉にあるように、最初はスクラップ、ムダの排除がスタートです。そして、次に付加価値向上策に取り組むのです。
以下に生産性を高めるためのポイントを簡単にまとめてみました。貴社でも一度チェックし、真剣に実践してみてください。
①スクラップ:ムダの排除
・ヒト:複数人でしていた作業を一人で行う。ヒトがしていた仕事を自動でできるようにする。
・モノ:不要なものを売却、廃棄する。在庫基準を引き下げる。購入量を少なくする。
・カネ:不要なものを買わない。不要な借入金を返済する。回収条件・支払条件の見直しを行う。
・情報:情報をデジタル化する。情報源を厳選する。
②ビルド:付加価値向上
・設備投資:高精度の設備を導入する。省人化設備を導入する。管理・事務の自動化を図る。
・スカウト人事:高い技術やマネジメント能力のある人材をスカウトする。
・顧客開拓:これまでよりレベルの高い顧客を開拓する。

当社のクライアントであるA社は建設機械部品製造業を営んでいる中小企業ですが、あらゆるムダを洗い出し、ムダの排除に取り組みました。人時加工高を算出し、6,000円/人時を下回ることがないように管理しています。部門ごとに加工高の基準を定め、作業分析を行いました。手待ち時間やムダな作業を明確にし、作業を改善しました。必要な設備や工具・治具を購入し、納得性のある改善活動を推進しました。当初、4,000円台であった人時加工高が、1年で6,000円になり改善が継続しています。

当社のクライアントであるB社(金属加工業)では、設備の稼働状況を見える化できるようにIoT機器を導入しました。設備ごとにリアルタイムで稼働率が表示され、加工状況が見える化され、非稼働の対策が素早くできるようになりました。

C社(建築材料製造業)では、不要な設備、不良在庫を廃棄しました。特別損失として除却損を計上しましたが、法人税等が大幅に減り、資金繰りに余裕が生まれました。工場にはゆとりが生まれ、ムダなものや汚れが見えるようになり、さらなる改善を進めています。

D社(自動車部品製造業)では、スカウト会社に依頼して製造責任者を採用しました。多額な採用費を支払いましたが、工場改革をすすめ、工場の雰囲気が変わり、生産性が向上し、営業利益が格段に向上しました。

生産性向上の現場に立ち会っているとびっくりするような日々の変化に遭遇します。わが国の中小製造業の未来は明るいと真に感じています。

                                            以上

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